日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ウマ甲状腺における鰓後体遺残組織及びその過形成と腺腫
立山 晋谷村 信彦森友 靖生門司 慶子山口 良二野坂 大Cotchin E.
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1988 年 50 巻 3 号 p. 714-722

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抄録

宮崎県及び熊本県の屠畜場で採取した臨床的に異常のない馬97頭中26頭の甲状腺に異常細胞集簇巣を認めた. これらは組織学的に次の3型に分類された: 1) 周囲組織に影響を与えず埋没する鰓後体遺残組織(8頭), 2) 周囲組織を圧迫する鰓後体遺残組織の結節性過形成(13頭), 3) 線維性被膜に囲まれた線種(5頭). これらの組織はカルシトニン及びサイログロブリンについての免疫組織化学的, 及び電子顕微鏡的に検索すると, 1~3種の細胞から構成され, いずれの抗体にも反応しない未分化細胞, カルシトニン陽性の傍濾胞細胞, サイログロブリン陽性のコロイドを容れた濾胞を形成する濾胞上皮細胞が認められ, 前2者は充実性組織を形成していた. また1例では, 濾胞上皮細胞のみからなる過形成を認めた.

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