日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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正常犬および疾患モデル犬の血清・組織アルカリホスファターゼの生理化学的性質
藤瀬 浩平井 幸子堀井 康市小川 絵里小林 好作
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1988 年 50 巻 3 号 p. 769-776

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抄録

正常成犬血清, 小腸, 肝臓, 骨, 腎臓および子犬血清アルカリホスファターゼ(ALP)の諸性質を, 各種疾患モデル犬血清ALPと比較した. 1ヶ月齢子犬の血清ALP活性は成犬の4.7倍を示した. 各ALPの至適pHは, 小腸で9.9,その他の組織および正常血清では10.1であった. 56℃20分間熱処理で, 小腸ALPは安定であったが, 他のALPでは活性が半減し, 熱安定性は小腸>>腎臓>肝臓=成犬血清>骨=子犬血清の順であった. 阻害剤への感受性では, 小腸ALPはL-フェニールアラニン(LPA)により他のALPより強い阻害を受けたが, 小腸以外のALPはイミダゾール(IMI)により強い阻害を受けた. IMIによる血清ALPの阻害は成犬と子犬との間で僅かに差があり肝臓と骨のアイソザイムの差を反映すると思われた. セルロゲルを用いた電気泳動で, 各ALPアイソザイムは分離できた. 胆管結紮およびプレドニゾロン投与を受けた犬の血清ALPは, 正常犬のそれに比べて熱安定性が高かったが, CC14投与犬では正常犬と同様であった. さらにプレドニゾロン投与犬の血清ALPは, IMIによる阻害あるいは電気泳動により, 正常血清および他の疾患モデル犬血清ALPと明瞭に区別できた.

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