1988 年 50 巻 3 号 p. 783-790
発育促進用ポリエーテル系抗生物質, カチオノマイシン(CNM), ライソセリン(LSC), モネンシン(MNS), ポートミシン(PRM)およびサリノマイシン(SNM)に対する健康豚および鶏糞便由来嫌気性菌100菌株の最小発育阻止濃度(MIC)を寒天希釈法によって測定したところ, Bacteroides fragilisグループに属する菌株の41~56%はCNM, MNS, PRMおよびSNMの6.25μg/mlの濃度で抑制されたが, LSCには同一濃度で抑制されなかった. Fusobacterium, Selenomonas, MitsuokellaおよびMegasphaeraの全供試菌株はポリエーテル系抗性物質に耐性を示した. EubacteriumはMNSを除く抗生物質に1.56~3.12μg/mlの濃度で抑制された. Bifidobacteriumの全菌株はCNMおよびPRMに対して低濃度で抑制されたが, LSC, MNSおよびSNMには弱い耐性を示した. また, Clostridium perfringensは全供試薬剤に1.56~12.5μg/mlで抑制され, LactobacillusはCNM, PRMおよびSNMの1.56μg/mlで抑制されたが, LSCおよびMNSに対して12.5μg/mlで抑制された. 豚糞便由来B. fragilisはポリエーテル系抗生物質に対して耐性を示したが, 鶏糞便由来B. fragilisは低濃度で抑制された.