抄録
育成期および成熟期のウマ,ウシ,ブタ,ヤギおよびニワトリを用いて,安静時心拍数と固有心拍数および自律神経緊張度の相互関係を調調べ,成長にともなう心拍数減少にみられる動物種差の原因について考察を加えた.固有心拍数と自律神経緊張度はアトロピンとプロプラノロール投与後の心拍数を用いて算出した.安静時心拍数と固有心拍数はいずれの動物においても育成期から成熟期にかけて減少し,また自律神経緊張度は交感神経緊張度の減少あるいは副交感神経緊張度の増加という型で副交感神経緊張優位の方向に推移した.成長にともなう安静時心拍数の減少にはまず固有心拍数の減少が,ついで副交感神経緊張度の優勢化が深く関わっており,とくに自律神経緊張度の推移の面で著しい動物種差が認められた.