日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ラット胎仔の精巣導帯の成長と精巣下降の関係:肉眼,光顕および電顕的観察
藤掛 登富樫 宏史山本 雅子有嶋 和義植田 安寛江口 保暢
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1989 年 51 巻 2 号 p. 416-424

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抄録
精巣導帯は,精管に接着する索状部と後腹壁に接着する球状部からなる.索状部は胎齢15日に初めて見られ,16日に最長となり,18日に向かって短縮した.球状部は16日に初めて見られ,胎仔の成長と共に下降し,胎齢19日において索状部の湾曲により球状部の頭側端に接した.組織学的には,球状部は中心部に間葉細胞塊を有し,周囲に筋芽細胞層を有していた.間葉細胞塊は球状部の発達に伴い球状部の頭側端に寄り,尾側端は次第に疎性組織となった.胎齢19日を境に間葉細胞塊は次第に疎となるが,膠原線維が増加した.以上の所見から,胎生期における精巣下降は,索状部の短縮および球状部の伸張が起こる胎齢16日から始まるものと思われる.
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