抄録
Mycobacterium avium Flaming 0株をC57BL/6 (B6), BALB/c (B/c)雌6週齢,無菌(GF)ならびにフローラ保有(FB) B/c系ヌード(nu/nu)およびヘテロ(nu/+)マウス雌雄4力月齢に経口胃内投与後,糞便,臓器からの半定量的培養,組織切片による抗酸菌の検出を行い経口感染時の菌の侵入経路,感染菌量,感染の進展について検討した.B6に1081回または分割(107,週2回)投与後,6~8週で感染が成立し,持続的または断続的に糞便中に排菌がみられ,長期間続いた.B6とB/cはほぼ同程度の感受性であった.nu/+GFは同FBに比べ投与量と感染率の関係が明瞭であった.投与後7日まで糞便,腸内容,パイエル板(PP),腸間膜リンパ節(MLN)の菌の推移を調べると,菌は腸管からは急速に減少し,4~7日にPPおよびMLNにごく少数検出された.全身感染の成立をnu/nuとnu/+のGFおよびFBとで病変の形成を調べると,いずれも50週では全身諸臓器に病巣が認められたが,GF,FBともにnu/nuが著しい病変を呈した.経口投与後早期(7日以内)に菌はおそらくPPに捕捉され,ついでMLNに持続感染するものと思われた.感染がMLNに限局する機序には胸腺が関与する免疫機構の役割が示唆された.