日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ニワトリの精管結紮が精巣上体に及ぼす影響
中井 雅晶橋本 善春北川 浩昆 泰寛杉村 誠
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1989 年 51 巻 3 号 p. 521-529

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抄録
ニワトリの精管結紮が精巣上体に及ぼす影響および貯留精子の排除機構について,組織学的,組織化学的お上び免疫組織化学的に検討した.結紮1週後には精巣網お上び精巣輸出管の管腔内に高密度に精子が充満し,精子の凝集,大食細胞集塊および異物巨細胞がみられた.上皮の一部は剥離し,管腔内に多数の線維芽細胞および偽好酸球が滲出していた.精巣網と精巣輸出管の上皮は多数の精子を含み,間質内には多数のリンパ球と形質細胞が認められた.4週後には大型の精子凝集塊,泡沫細胞集塊および間質結合組織の管腔内への増殖がみられた.8週後では管胎内に泡沫細胞集塊が顕著であった.結合小管と精巣上体管では著しい変化はみられなかった.結紮後,精巣輸出管の酸性フォスファターゼ活性は減弱したが,他部では変化を認めなかった.また,間質中の形質細胞はIgGを含んでいた.以上の成績から,ニワトリでは精管結紮によって,精巣網および精巣輸出管に肉芽腫が形成されることが明らかになった.また,貯留精子の排除は上皮細胞,大食細胞および肉芽腫によっておこなわれ,その排除過程に抗体の関与する可能性が想定された.
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