日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ハムスターの甲状腺と上皮小体における各種内分泌細胞の発生に関する免疫組織化学的研究
谷口 和之首藤 康文見上 晋一
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1990 年 52 巻 1 号 p. 19-27

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抄録

ゴールデン・ハムスターの甲状腺と上皮小体における各種内分泌細胞の発生を甲状腺, 上皮小体の形態形成との関連において免疫組織化学的に検索した. 甲状腺は胎齢9日に第一, 第二鰓嚢間の前腸腹壁の陥没によって生じ, 濾胞上皮細胞は胎齢10.5日に抗サイログロブリン血清に対する弱い免疫反応を示した. この反応は次第に増強したが胎生期には主に細胞質内に限局し, 初生仔で初めて濾胞腔内に強い免疫陽性反応が出現した. 鰓後体は第五鰓嚢から生じ, 胎齢12日に甲状腺と癒合した. カルシトニン免疫陽性細胞は胎齢14日に鰓後体由来の甲状腺組織内に出現し, その後増加した. ソマトスタチン免疫陽性細胞は胎齢13日にやはり鰓後体由来の甲状腺組織内に出現し, 初生仔で増加したが, その後減少した. 上皮小体は第三鰓嚢から生じ, 胎齢13日には甲状腺の背外側で甲状腺と同一の被膜に包まれた. パラソルモン免疫陽性細胞は胎齢15日に上皮小体内に出現し, 出生後増加した.

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