1990 年 52 巻 1 号 p. 29-34
ルーメン・セルロース分解菌の B. succinogenesから作製した菌体外膜抗原を用いて, ELISAによりウシ血清中の抗外膜抗体を検索した. 菌体外膜抗原はB. succinogenesの抗菌体ウサギ血清と特異的に反応し, B. ruminicola や Selenomonas ruminartiumの抗菌体ウサギ血清との間に交又反応は認められなかった. 初乳摂取前の子牛血清において, 抗外膜抗体は全く検出されず, 初乳摂取後には高値を示した. 10日齢の子牛血清(n==24)の平均抗体価は, 40日齢時に比べ有意(plt;0.01)な高値を示した. また成牛血清中の抗外膜抗体は, 子牛のそれに比べ有意(p<0.01)な高値を示した. 乳牛血清(n=25)の平均抗体価は, 肥育牛(n=25)に比べ高値を示す傾向が認められた. 抗B. succinogenes外膜抗体は, 初乳を介して子牛に移行すること, およびその保有状況は, 牛の飼養条件が影響していると考察された.