日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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心不全における血管拡張薬の減負荷効果に関する実験的研究
市川 貞治若尾 義人武藤 眞高橋 貢
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1990 年 52 巻 2 号 p. 361-369

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抄録
心不全における血管拡張薬(Nitroglycerin, NTG)の減負荷効果について実験的な検討を行った. はじめに犬の憎帽弁腱索を切断し, 実験的に急性憎帽弁閉鎖不全モデルを作り, その血行動態を観察した結果, 前負荷の指標である左室拡張末期圧(LVEDP)ならびに左房圧(LAP)が有意に上昇し, 明らかな前負荷の増加がみられた. また, 前方拍出量の低下, 心筋収縮性の低下, 心筋酸素消費量の減少によって心機能が障害され不全に至る経過が観察された. つぎに実験的急性憎帽弁閉鎖不全心に対し, NTG3μg/kg/minを動脈内に持続投与した結果, LVEDP, LAPならびに中心静脈圧は有意に下降し, 前負荷が顕著に改善された. また, 後負荷の指標である大動脈収縮期圧(Aos), 平均大動脈圧(Aom)ならびに全末梢血管抵抗(TPR)は有意に低下し, NTG投与による後負荷の軽減作用が示唆された。しかし, 後負荷の軽減は還流血液量によって大きく左右される. そこで体外循環装置を使用し, 静脈還流量を一定にコントロールした状態でNTGを投与した結果, Aos, Aom, 左室最大収縮期圧(LVSP)ならびにTPRは有意に低下した. また, 心筋収縮力ならびに心拍出量も増加した. このことにより, NTGの抵抗血管拡張による後負荷軽減作用が証明されたと考えられる.
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© 社団法人 日本獣医学会
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