日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ブタの腎クリアランス値測定のための慢性尿管カテーテル装着法
小久江 栄一下田 実田中 伸枝吐山 豊秋
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1990 年 52 巻 3 号 p. 479-485

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抄録

24頭のブタの両側尿管に、シリコンチューブを外科的に装着した。より正確な腎クリアランス値を得るためである。内径と外径がそれぞれ1.0×2.5mm、2.5×4.0mmの2種類のチューブをカニューレとして使った。太いチューブを使うこと、鼠径部から体外に出すこと、可能な限りバクテリアによる感染を防ぐことが、慢性カニューレを長持ちさせるのに有効であった。この処置をした18頭の内13頭は3週間以上、正常の腎クリアランス値を示した。最長有効期間は7週間であった。フェノールレッド(PSP)クリアランス値は、カニューレの状態(腎の健康状態)の診断に有効であった。カニューレを装着した後1週間以内では、PSPクリアランス値は低かった。慢性カニューレを装着したブタの、麻酔下と無麻酔下でのイヌリンクリアランスを測定した。麻酔下ではクリアランス値は低かった。ブタで正確な腎クリアランス値を得たい場合は、慢性尿管カニューレを装着し、無麻酔下で測定する方法が推奨できる。但し、手術後1週間以内は測定に使わない方がいい。

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