日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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トキソプラズマ溶解抗原 (TLA) 感作マウスのBabesia感染に対するリンパ球およびNK細胞の動態
五十嵐 郁男本田 龍介嶋田 照雄宮原 和郎桜井 治久斎藤 篤志鈴木 直義
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1990 年 52 巻 5 号 p. 969-977

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抄録
8週令, 雄, BALB/cマウスに2週間隔で2回, TLAを背部皮下に投与後, 脾臓, 肝臓および末梢血液中のsIg, Thy- 1, 2, Lyt- 1, 2, Lyt- 2, 2およびAsialo GM1陽性細胞数を測定した. TLA感作マウスの細胞数は, それぞれTLA非投与群マウスに比較して2-4倍に増加した. これらのTLA感作および非感作群マウスにBabesia rodhaini感染赤血球 (1 x102) を接種すると, TLA感作マウス10例中4例が生存したが, 非感作対照マウスは接種後14日までに全例死亡した. TLA感作ヌードマウスでは, TLA非感作ヌードマウスと同様に接種後12日までに全例死亡した. Babesia接種後10日目の両群マウスの胸腺細胞数は両群共に接種前に比較して約80%減少した. 一方, Babesia接種10日目の脾臓, 肝臓および血液中のBおよびTリンパ球数とNK細胞数は両群マウス共に増加したが, その増加の度合はTLA感作マウスにおいて著明であった. 両群マウスの脾臓細胞をTLAと6日間in vitroで培養した. それをEffector細胞として, 標的細胞 (P-815及びYAC-1腫瘍細胞) に対する細胞障害性試験を試みたところ, TLA感作脾臓細胞が強く両標的細胞を破壊した.
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