1990 年 52 巻 6 号 p. 1245-1250
ウシ血清中のハプトグロビン (Hp) の臨床診断学的意義をより明らかにするため, 各種疾病牛の血清中のHpとムコ蛋白, シアル酸の関連性を検討した. まず, 健康ウシ46頭および疾病牛36頭のムコ蛋白, シアル酸およびHpの血中濃度を, それぞれ過塩素酸可溶性蛋白測定法, 酵素法および分光学的方法により測定した. 病牛におけるそれぞれの異常値検出率は, 94.3, 45.7, 82.9%を示し, 炎症性疾患におけるこれらの急性相反応物質の診断学的価値が確認された. さらに, ムコ蛋白とシアル酸, Hp, α-グロブリンおよび好中球数 (%) との間に, それぞれ, 有意な相関が認められた. また, Hpとムコ蛋白およびシアル酸との間に有意だが低い相関を認めたが, これはピロプラズマ感染などの溶血性疾患の合併症のためと推定された. 血清Hpを他の急性相反応物質と一緒に測定することは, 炎症性疾患に合併した潜在性の溶血性疾患の診断に有用であることが示唆された.