ハムスター精巣のホモジネートをBALB/cマウスに免疫することにより38種のモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製した. 蛍光抗体法により組織化学的にそれらの反応性を観察したところ, 6種の抗体は精子細胞の先体に反応し, 他の2種の抗体1Al1および4D8は先体以外の精子細胞構成要素に反応した. また抗体1C9および4D3は, イムノブロットでともに103キロダルトン(kDa)の蛋白を認識することが確認されたが, これらの抗体は精母細胞と初期精子細胞に特異的に反応し, 後期精子細胞および精子には反応しないため, この蛋白が減数分裂または精子形成に関与する機能的な蛋白であることが示唆された. さらに4種の抗体(3G2, 2E5, 2G3, 3F10)は, 全ステージの精細胞に反応し, そして残る24種の抗体は基底膜に反応した. その中の2種(3D6, 3E5)は, 細胞外基質の一種と思われる約150 kDa以上の蛋白を認識した.