Journal of Veterinary Medical Science
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種々の合成ペプチドを用いたウシコングルチニン分子上の抗原決定基の解析
杉井 俊二
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1994 年 56 巻 6 号 p. 1035-1040

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抄録

ウシコングルチニン分子上の抗原決定基を同定する目的で, N末端側から5アミノ酸残基が重複した20アミノ酸残基から成るペプチドを合成し, ウサギ抗ウシコングルチニン抗体との反応を調べた. その結果, アミノ酸残基31- 50, 166-185および241-260を含む合成ペプチドが最も高い反応を示し, 次にアミノ酸残基1-20, 16-35, 31-50, 76-95, 136-155, 151-170, 181-200, 271-290, 301-320および316-335を含む合成ペプチドが抗体と良く反応した. またコングルチニンとマンナンとの結合はアミノ酸残基16-35, 31-50, 46-65, 76-95, 91-110, 106-125, 151-170, 166-185, 211-230, 226-245および286-305を含む合成ペプチドにより阻止が見られた. また個々の合成ペプチドをキャリヤーと共に家兎に免疫して得られた抗体は全てコングルチニン分子と反応を示したが, 特にアミノ酸配列241-260に対する抗体が強く反応した. 一方コングルチニンとマンナンとの結合はアミノ酸残基16-35を含む合成ペプチドに対する抗体のみが効率的に阻止を示した. 以上の成績から, ウシコングルチニン分子上には免疫原性およびリガンド結合に関与する複数の抗原決定基が存在することが示唆された.

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