抄録
研究用原子炉や大型加速器で発生させた大強度の中性子を利用することにより,類似の技術では実現できなかった様々な可視化や計測が実現している.本稿では,中性子ビジュアルセンシングの基礎と特長,定常中性子源を用いた高速度連続可視化計測技術,高速スキャン3次元動体可視化技術,マルチビーム3次元速度計測技術,パルス中性子源を用いた中性子エネルギー選択型可視化計測技術に関して原子力分野への適用例を中心に体系的に紹介する.これらの技術は,非接触で金属容器内の動体の高時間分解能での可視化,3次元速度の計測,物質を識別した可視化や計測などが実現しており,原子力機器の研究開発や産業機器内の可視化などに利用されている.