抄録
流動層は,熱輸送を伴う各種工業プロセスにおいて広く用いられている.層内においては,粒子-周囲流体間の対流熱伝達,粒子-粒子間・粒子-容器壁面間の接触熱伝導やふく射伝熱など,複数の伝熱機構が考えられ,さらに個々の粒子が有限の熱容量を持っているため,層内における粒子群の対流・拡散運動そのものが,熱輸送の一部であると言える.流動層内で起こる熱輸送現象の理解促進のためには,個々の粒子レベルでの運動の把握が重要となるが,その振る舞いは大変複雑である.本研究では,粒子運動と熱輸送特性との相互関係に関するデータの取得と,これに基づく現象の理解促進を目的として,粒子追跡速度計測(PTV)法と赤外線(IR)サーモグラフィ温度計測法を組み合わせた計測手法を提案し,実際にこれを用いて2次元流動層中において流動状態にある粒子群の運動と温度の同時計測を試みた.