近年,感圧塗料(Pressure-Sensitive Paint,PSP)を用いた可視化計測はさまざまな分野へと広がりを見せている.その1つが低速風洞試験への適用である.PSPは自動車や高速列車の開発ツールとしての利用をはじめ,スポーツ流体工学などの新しい分野にまでその適用先を広げている.しかし,圧力変化の小さな低速流においてPSP計測を定量的に行うことは容易ではない.低速流においてPSP計測を行うためには様々な要因で生じる計測誤差をよく理解し,それらを最小化することが不可欠である.
本稿ではPSPの低マッハ数流れへの応用として,近年の筆者らの取り組みを中心に,定常・非定常の両方の場合について,PSPを低速流体現象に適用するための方法論の提案と風洞試験への適用例を報告する.