近年のマルチメディア技術の発達により,音楽鑑賞機器の主役は音楽再生専用機からコンピュータやモバイル機器に移り,ディスプレイや操作デバイスが手元にあることを前提とした音楽鑑賞環境を構築することが可能になった.本稿はこのような環境を前提として,ユーザインタフェースの一部としての情報可視化技術がどのように音楽鑑賞環境に貢献できるかについて議論する.本稿の前半では,音楽情報可視化手法のサーベイと分類,また音楽鑑賞のためのインタラクションの一部としての可視化手法を紹介する.本稿の後半では音楽情報可視化に関する著者らの研究を紹介し,今後の課題について議論する.