昆虫の自然界での繁栄は,その飛翔能力によってもたらされた.昆虫は安定した飛行が可能であることから,羽ばたき飛翔のメカニズムを理解することで,近年急速に利用が広まったドローンの更なる高性能化が可能となる.生物の進化には彼らの目的と制約があり,単純に一つの昆虫をロボットとしてそのまま再現するのではなく,その性能と,その高性能をもたらすメカニズムを理解し,抽出し,再現することが非常に重要である.可視化はその理解に向けた第一歩である.ここでは,1) 羽ばたき飛翔のモデリングに欠かすことのできない翼運動の可視化・再構築,2) PIVによる昆虫羽ばたき翼の後流の可視化,3) シミュレーションによる翼近傍の流れ・後流・力・パワーの可視化に着目し,いくつかの具体例を用いて,近年の研究動向と進展を紹介する.