本稿では東北大学浅井・野々村研究室における非定常感圧塗料(PSP)計測の最新の研究動向について述べる.非定常圧力計測が可能な高速応答PSPの適用限界領域を拡張する取り組みとして,低圧環境下および超音速流れのための計測技術が研究されてきた.低圧での非定常PSP計測の検討として,低圧においては一般的にPSPの圧力感度が低下することを新たに導入したパラメータで明確にし,さらに周波数応答性が低下することを明らかにした.さらには高速応答PSPの一種であるAA-PSPを用いて1-22 kPaの低圧における円柱側面上の非定常圧力計測結果を示した.超音速気流条件のための技術開発の動向としては,温度感度が低く高速応答を有するH2TCPPベースのAA-PSPと高出力レーザを組み合わせることで18 kHz程度の超音速非定常現象の圧力変動周波数を捉えることに成功した.これらの非定常PSP計測領域の拡張への試みから,航空宇宙分野における今後のPSPの適用可能性を示す.