可視化情報学会誌
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特集記事
  • 野々村 拓, 杉岡 洋介
    2022 年 42 巻 165 号 p. 4
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー
  • 浅井 圭介
    2022 年 42 巻 165 号 p. 5-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    実験流体力学のコミュニティーに感圧・感温塗料(Pressure and Temperature Sensitive Paint,PSP/TSP)の存在が知られるようになったのは1990年のことである.それから約30年間,PSPとTSPは進歩を続け,空力設計やCFD結果の検証のため欠かせない技術となっている.この革新的技術の発展に我が国が果した役割は大きく,今では世界のキープレイヤーの一員として認識されている.PSP/TSPの研究に初期の頃から携わって来た者として,本稿では,若い世代が知らない創成期の活動を振り返り,そこからPSP/TSPの現状と今後の課題を整理する.そして,この技術が実現した真の革新は何であったかの考察を試みる.併せて,この30年間に登場し未完のままになっているアイデアの幾つかを紹介し,次世代のPSP/TSP技術の研究を目指す読者の参考とする.

  • 杉岡 洋介, 中北 和之, 満尾 和徳
    2022 年 42 巻 165 号 p. 9-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 航空技術部門 (旧 航空技術研究所) では,感圧塗料技術の黎明期である1990年代から基礎研究を開始し,欧米に比肩する技術を蓄積してきた.それらは航空宇宙機の開発試験に利用される風洞 (実用風洞) で行われる計測に適用され,実機開発において空力設計や数値シミュレーション (CFD) 結果の妥当性検証に多大な貢献をしている.さらに,JAXAのPSP技術は学術研究においても流体現象の解明や流体制御デバイスの開発に活用されている.本稿では,JAXA航空技術部門の実用風洞におけるPSP開発の展開を簡単に述べ,研究開発対象がどのように推移してきたかを紹介する.さらに,航空宇宙機産業において最先端のPSP技術の適用することで発展が期待されている2つの分野:空力騒音および飛行試験について最新の計測例を示す.

  • 江上 泰広
    2022 年 42 巻 165 号 p. 13-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

     感圧塗料(Pressure-Sensitive Paint,PSP)は,これまで様々な条件や用途の計測に用いられてきた.1980年代の比較的圧力変化の大きな遷音速~超音速域における定常計測からはじまり,非定常計測,低速流れなどの微小な圧力変動の計測,高クヌッセン数流れや火星風洞などの低圧領域への適用,低温・低酸素分圧の低温風洞計測などへの適用などが行われてきている.それぞれの実験条件に適したPSPを作成するには,感圧色素やバインダ,粒子の特性を考慮する必要となる.

     本論では,基本となる遷音速域における定常計測用PSP,低温・低酸素環境である低温風洞に適したPSP,及び非定常計測に適した高速応答PSP(PC-PSP)に必要とされる色素やポリマ,微粒子の特性や,これらの特性を有するPSPを開発するときの要点についても述べる.

  • 永井 大樹, 依田 大輔, 安養寺 正之
    2022 年 42 巻 165 号 p. 17-21
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

     感圧塗料を用いた圧力分布の計測は,1999年から2003年まで行われた,科学振興調整費による「機能性分子センサによる熱流体センシング技術の研究開発」によって,国内におけるPSP研究の基盤が確立されたといえる.さらに国内外の大学,研究所の研究者だけでなく,産業界にも多くの関心をもたらし,これ以降,航空宇宙分野だけでなく,様々な分野への適用も実施されてきた.一方で,MEMSデバイスなどの微小領域を非侵襲計測でかつ定量的に計測できる技術の開発や自動車産業界から低速領域での高精度な圧力変化の計測など新たなかつ大きな課題が生じていた.さらに特殊な環境として大気密度が地球と比べ1/100程度である火星を飛ぶ飛行機開発への適用を目指すなど,特殊環境下での計測も切望されていた.本稿ではこのような課題を解決すべく筆者らが主に2004年から2015年頃までに取り組まれた研究開発の一部を紹介する.

  • 笠井 美玖, 内田 和樹, 岡 慶典, 野々村 拓, 浅井 圭介
    2022 年 42 巻 165 号 p. 22-25
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本稿では東北大学浅井・野々村研究室における非定常感圧塗料(PSP)計測の最新の研究動向について述べる.非定常圧力計測が可能な高速応答PSPの適用限界領域を拡張する取り組みとして,低圧環境下および超音速流れのための計測技術が研究されてきた.低圧での非定常PSP計測の検討として,低圧においては一般的にPSPの圧力感度が低下することを新たに導入したパラメータで明確にし,さらに周波数応答性が低下することを明らかにした.さらには高速応答PSPの一種であるAA-PSPを用いて1-22 kPaの低圧における円柱側面上の非定常圧力計測結果を示した.超音速気流条件のための技術開発の動向としては,温度感度が低く高速応答を有するH2TCPPベースのAA-PSPと高出力レーザを組み合わせることで18 kHz程度の超音速非定常現象の圧力変動周波数を捉えることに成功した.これらの非定常PSP計測領域の拡張への試みから,航空宇宙分野における今後のPSPの適用可能性を示す.

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