2023 年 43 巻 167 号 p. 24-27
グローバルDICを用いた2次元変位・ひずみ測定法の基本的な原理,および得られたひずみから応力を得る方法について説明する.この方法では,画像に写っている測定対象に重なるように有限要素メッシュを定義し,輝度値分布の相関を利用してそのメッシュの全節点変位を同時に決定することができる.節点変位を決定した後には,要素内のひずみを変位ひずみ関係を用いて算出する.その際,微小ひずみであれば変位勾配からひずみを得ることができる.微小ひずみと考えられない場合には有限変形論に基づいて変形勾配からひずみを算出するが,その代表として対数ひずみを算出する方法を説明する.ひずみを算出した後,測定対象物体の材料特性と構成式が既知であれば,応力分布を得ることができる.応力可視化例として,有孔帯板の引張による円孔周辺部の応力集中と,き裂先端部近傍の応力分布を示す.き裂の例においては破壊力学パラメータの評価についても述べる.