2025 年 45 巻 173 号 p. 19-24
地球上に4億年以上存続し、100万種にまで進化した昆虫は、種の存続に優れた生物である。ヒト社会を持続可能にするうえで、彼らから学べることがあるかもしれない。彼らの進化的繫栄は翅による飛翔機能の獲得が大きいとされる。この飛翔機能を保つ仕組みが、翅脈という脈状構造のネットワークによる体液輸送である。しかし、流体力学的にはヒトの毛髪よりも細い内径を持つ翅脈による体液輸送ネットワークシステムでは、管内摩擦に起因する圧力損失が課となる。この翅の機能性維持システムを持続可能にするためには、圧力損失を低減し、必要なポンプ動力を低減する必要がある。この課題を解決するメカニズムは、マイクロ流路を用いた化学センサーや熱制御装置から送電・送液ネットワークのような現代技術を省エネルギー化できる可能性がある。本稿では、ハエの翅脈ネットワーク構造による体液輸送の圧力損失低減について、我々が行った研究を示しながら述べる。