日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
暑熱環境下における泌乳ヤギの乳量および乳成分率の低下を 軽減する冷房時間の検討
砂川 勝徳 長峰 樹大城 司赤嶺 雅敏山本 さつき宮野 俊介
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2015 年 58 巻 2 号 p. 189-199

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抄録

 高温環境で生き残るために,泌乳ヤギは採食量を減少させることで体熱産生を抑制する.熱産生量の減少は, 泌乳成績の低下をもたらす.本研究は高温環境下における乳量及び乳質の低下を改善する有効な冷房時間を明 らかにするために行われた.15 頭の日本ザ-ネン種ヤギ (2 才齢, 2 産, 分娩後70 日, 体重46.1 ± 2.8 kg) が3 群 (2HC, 4HC, 6HC) に5 頭ずつ配置された.各動物は不断給水で,粗く砕いたアルファルファヘイキューブ を残食する量及び自家配合飼料300 g を1 日2 回給与 (9:30, 17:30) された.搾乳は1 日2 回 (9:00, 17:00) 行われた. 2HC 群の動物は高温環境 (32°C, 80%) に暴露開始後11 から16 日まで,午前及び午後の給飼に合わせて2 時間, 冷房 (20°C, 80%) された.4HC または6HC 群の動物は高温環境 (32°C, 80%) に暴露開始後11 から21 日まで, 午前及び午後の給飼に合わせてそれぞれ4 または6 時間,冷房 (20°C, 80%) された.2 時間冷房は乳量及び乳 質の低下を改善しなかった.4 時間冷房は乳量の低下を改善したが,乳質の低下は改善されなかった.6 時間 冷房は乳成分生産量及び乳質の低下を有意に改善した.結果は,高温環境における泌乳ヤギの乳量及び乳質の 低下を改善するためには,午前及び午後の給飼後6 時間冷房する必要があることを示している.

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© 日本暖地畜産学会報 58(2):189-199, 2015
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