子牛育成において単飼から群飼へと飼養環境が大きく変化する時期の成長停滞などに対する甘草給与 の効果について検討した.本試験は3 ヵ月齢の日本黒毛和種子牛を甘草給与区および無給与区に配置して行い,甘 草は1 日1 回朝の給餌時に給与した.給与期間は飼養環境を移行する前後10 日間とした.給与前後の体尺値,一 日当たりの増体量(DG),血中IGF-1 およびGH 濃度について測定した.体尺値は給与区および無給与区に有意差 はみられなかったが,給与区でDG が上昇傾向にあった.血中IGF-1 濃度は給与区および無給与区に有意差はみら れなかったが,給与区で平均値が高くなった.血中GH 濃度は給与区が無給与区に比べ高い傾向がみられた(p < 0.05).子牛を単飼から群飼へ移行する前後に甘草を給与した場合,子牛の低栄養状態を予防する傾向がみられた ことから,飼養環境の変化によるストレスを緩和した可能性が示唆された.