日本暖地畜産学会報
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技術報告
夏期の日光浴が黒毛和種哺乳子牛の発育に及ぼす影響
大島 一郎成田 空子柳田 大輝冨永 輝石井 大介松元 里志片平 清美髙山 耕二中西 良孝
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2022 年 65 巻 2 号 p. 125-129

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抄録

夏期(6~9月)において,黒毛和種哺乳子牛6頭(雄1頭および雌5頭)を2群に分け,直射日光を浴びない対照区(雌3頭)と日中6時間自由に直射日光浴が行える試験区(雄1頭および雌2頭)とし,4日齢から10週齢までの間の日光浴の有無が発育に及ぼす影響を検討した.試験期間中,試験区の気温は対照区に比べて有意に高く,相対湿度は有意に低い値であった(P<0.05).試験区の紫外線露光量は対照区の100倍以上の値であり,有意に高かった(P<0.05).試験区の日射量を考慮した体感温度および温湿度指数はいずれも対照区に比べて試験区で有意に高い値を示した(P<0.05).4~17日齢における試験区供試牛の体温は対照区に比べて有意に高かったものの(P<0.05),呼吸数に差は認められなかった.体重および日増体量に有意な区間差は認められなかった.骨の成長度を示す管囲は,2週齢から10週齢にかけて両区とも同等の増加率となった.また,試験区の供試牛では対照区に比べて舐塩行動が有意に低下した以外,他の行動に違いは認められなかった.以上の結果より,夏期において黒毛和種哺乳子牛に10週齢まで自由に日光浴を行わせた場合,哺乳初期に軽度の暑熱ストレスが負荷されたものの,発育に影響を及ぼすものではなかった.

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© 2022 日本暖地畜産学会
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