西日本畜産学会報
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西南暖地におけるオオクサキビ (大分系) の安定多収栽培法
井上 尚武広瀬 謙次志賀 孝士
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1979 年 22 巻 p. 20-22

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抄録

昭和52年度よりオオクサキビ (大分系) の安定多収栽培試験を行ない, その特徴について検討した。
本草の特徴をまとめると次のとおりである。
1) 秋10月自然に落下した種子は翌春3月下旬から発芽し, 初期生育は遅いが, 気温の上昇とともに旺盛に生育伸長し, 6月上旬草丈80cm以上で刈取り可能となり, その後再生もよく約30日で所定の草丈となり, 3~4回刈りができ, 多収が期待される。
2) 9月中旬から出穂を始め, 10月下旬までに開花し結実する短日生の, 種子によってのみ繁殖する1年生草本である。
3) 採種した種子は休眠性により翌春の発芽率は極めて悪く, 2~3年と長期保存により発芽率が向上する特性をもっている。また冬季間土中に埋蔵した種子は湿度と変温により休眠から覚醒し, 良好な発芽率 (95%以上) を示した。
4) 密植した場合は分けつ少なく, 茎及び葉身は直立するが, 疎植では分けつ多く, 茎はやや斜上する。1本立した場合最高25本と水稲に劣らぬ分けつ数を示した。
5) 耐旱性は比較的強く, 降雨の少ない夏季においても活着率よく, 良好な生育を示した。
6) また耐湿性も強く, 移植栽培も可能で水田利用飼料作に好適な作物と思われる。
7) 茎が中腔なので乾燥が早く, 密植により更に茎を細くし, ビニールハウスを利用すれば, 良質の乾草調製が可能である。

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