各種家畜ふん尿およびオガクズ, モミガラ等の敷料混合物の腐熟化を, 材料の水分調整の方法, 堆積期間と切り返しの時期および腐熟化の程度について検討し, 次の結果を得た。
1.飼養規模が大きく, 毎日の処理量が多い場合は, 機械攪拌付き乾燥施設を利用すると, 水分60~70%に調整するのは容易である。
乾材を混合して調整する場合は, 水分の均一化が遅れるので, 2~3日仮積みし, 発熱をみてから本積みすれば, 以後の発酵は順調に行われるが, 発熱しない場合は再調整の必要がある。
2.計画的にふん尿を処理するためには, 一定期間内に腐熟化物を生産する必要があるので, 切り返しの時期は, 発熱の程度と高温分布 (焼けた状態) から判断して, 鶏ふんは4日毎, 豚ふんは5~6日毎, 牛ふんおよびモミガラ混合豚ふんは7~8日毎, オガクズおよびモミガラ混合牛ふんは10日毎に, それぞれ最低3回, 切り返すことが望ましいと考察された。
3.畜産農家で生産する腐熟化物は, 多種多様に亘るために, 腐熟度も不均一で施用上問題が多いので, 腐熟度現地判定基準 (案) を作成し, 腐熟条件の明らかな4種の製品について判定した結果, 概念的には中熟と判定していたものが, 稍中熟, 中熟, 稍完熟と判定され, 腐熟度を阻害する要因が, 示性分級式によって表示されるので, 製法上の問題点を把握し, 改善することが可能となったが, 今後, 各種の腐熟化物について判定し, 化学性の変化による判定と, 作物テストの結果を総合した判定に, 改善する必要があろう。
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