西日本畜産学会報
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自動車道工事騒音が乳牛の泌乳と繁殖に及ぼす影響について
小田 良助
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1986 年 29 巻 p. 16-20

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抄録

1) 自動車道工事による騒音と地殻振動の影響が乳牛の生産能力低下に及ぼす影響について2戸の農家 (AおよびB) を対象に調査した。
2) 調査農家Aにおいては, 騒音64~72ホン (A) , 地殻振動54~59dBという低レベルであったが, 泌乳牛に生産低下が出現した。
3) 乳牛は, 一般に神経質となり, 不安感を覚え, 工事が始まると立ち上がったり, ときには飛び上がったりした。
4) 産乳量の減少は, 牛体により区々であったが, 感受性の高い個体は著しい乳量低下が出現した。
5) 発情は, 一般に順調であったが, 種付回数が平時より1~2回多くかかった。また, 中には不妊となったものが現れた。
6) 飼料摂取は異常を認めず, 乳質低下もなかった。
7) 泌乳牛では, 環境庁が人に対して規定した騒音と振動許容レベルより低い数値に対しても敏感に反応し, 生産能力の低下を誘起するものと考察される。

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