西日本畜産学会報
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豚尿処理水を用いた養液栽培技術の開発 (第3報) 野菜類, 花卉類およびハーブ類を利用した高次処理システムの開発
脇屋 裕一郎田中 宗浩田中 朱里川崎 貴明坂井 隆宏小島 孝之岩永 致悦
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2003 年 46 巻 p. 71-77

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抄録

豚尿汚水処理施設に附帯した水質浄化高次処理システムの開発を目的として, 野菜類, 花卉類およびハーブ類を利用した固形培地養液栽培装置を試作し, 水質浄化の性能および栽培試験を行った.供試した汚水処理水は, 佐賀県畜産試験場の豚尿処理施設における最終処理槽から供試した.処理施設は, 生物膜法による曝気処理を行い, さらに間欠曝気により硝酸性窒素の除去を行っている.栽培装置として, 汚水処理施設に附帯したビニールハウス内に, 4本の角形雨樋 (25.7cm×15.0cm×400cm) を並列に設置し, 固形培地としてイソライトを充填した.雨樋端部には汚水投入口を設け, 反対側に排出口を設置し, 余分な処理水はオーバーフローで排出される水路形式とした.処理水の投入速度は, 500ml/分とした.供試植物として, 野菜類 (サラダナ, チンゲンサイ, ミニトマト) , 花卉類 (百日草, マリーゴールド, 松葉ボタン) , およびハーブ類 (バジル, オーデコロンミント, アップルミント, ペパーミント, ミントラベンダー, クールミント, パイナップルミント, コーンサラダ, イタリアンパセリ, レモンバーム, ペニーロイヤルミント, タイム) を用いた.栽培試験の結果, サラダナおよびチンゲンサイは黄化傾向が確認されたが, 花卉類は良好な生育を示した.ハーブ類は, バジル, オーデコロンミント, アップルミント, ペパーミント, ミントラベンダーおよびクールミントの栽培が可能であり, 特に, オーデコロンミント, ペパーミントの収量は顕著に高かった.処理水中の無機成分濃度をみると, 野菜類および花卉類においてはBOD, SS, K2Oの減少が確認された.ハーブ類においては, さらにNOx-N, CaOの減少が確認された.以上より, 固形培地を用いた水路形式の養液栽培装置により, 水質の高次浄化処理が可能であることが示唆された.

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