西日本畜産学会報
Online ISSN : 1884-6394
Print ISSN : 0914-3459
ISSN-L : 0914-3459
暑熱環境が周産期における乳牛のP, Ca, Mgおよび骨代謝に及ぼす影響
神谷 裕子神谷 充田中 正仁
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 49 巻 p. 25-30

詳細
抄録

暑熱環境が周産期における乳牛の乳中および血漿中P, Ca, Mg濃度および骨代謝マーカーに及ぼす影響について検討した.試験1として, 適温環境下 (3頭) または暑熱環境下 (3頭) に分娩予定の乳牛を用いて, 分娩予定日7日前から分娩4日後までの飼養試験を行った.暑熱ストレスにより, 分娩前後の乾物摂取量は有意 (P<0.05) に減少したが, 初乳量および初乳成分は明らかな影響を受けなかった.血漿中P濃度は暑熱環境下で有意 (P<0.05) に上昇した.血漿中Mg濃度およびオステオカルシン濃度 (骨形成マーカー) は暑熱環境下で有意 (P<0.05) に低下した.試験2として, 適温環境下 (3頭) または暑熱環境下 (5頭) に分娩した乳牛を用いて, 分娩7日後から28日後までの飼養試験を行った.暑熱環境下で乾物摂取量, 乳量および乳中Mg濃度は有意に (P<0.01) に低下した.Mg濃度 (P<0.01) およびオステオカルシン濃度 (P<0.05) も有意に低下した.以上より, 暑熱ストレスは周産期における乳牛のP, Ca, Mg代謝および骨代謝に影響を及ぼしていることが示された.

著者関連情報
© 日本暖地畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top