2006 年 49 巻 p. 57-62
受精卵移植技術によって造成された全兄弟種雄牛を用い, その直接検定成績や後代産子肥育牛の産肉能力にどのような差異がみられるのかを検討した.種雄牛自身の能力を判断する直接検定において, DGや粗飼料摂取率, 飼料要求率には差がみられ, また, 増体能力に顕著な違いが認められた.後代肥育牛の枝肉成績についてみると, 枝肉重量や胸最長筋横断面積, バラ厚等で種雄牛による有意な影響が認められたが, 後代牛の性による影響はほとんど認められなかった.これらのことから, 種雄牛自身の増体能力に対して環境要因とともに全兄弟間の遺伝子の変異が影響する可能性が認められた.また, 後代牛の肥育成績に対して飼養条件などの環境要因の他に種雄牛の遺伝能力の分散の要因も比較的大きく関わっている可能性が示唆された.