抄録
地域に根ざした取り組みを行う際に重要なことは、地域の資源を生かすこと、地域住民が主体となることであり、様々な場面で実践的な取り組みが行われている。これまでにもそのプロセスや成果をとりあげた研究等はあるが、環境ボランティアによる保全事業の取り組みが、その地域の一般住民の意識にどのような影響があるか、保全事業が活発に行われた要因は何かについては十分な検討が行われていない。
本研究では、保全に関する取り組み段階の異なる琵琶湖岸の3集落を対象に疑似実験的方法としての社会調査を実施し、水環境や保全活動に関する意識・行動について比較分析を行った。その結果、意識の面で大きな違いは見られなかったが、環境ボランティアの取り組みに関する気づきと言える部分や対人的な呼びかけで有意な差が見られた。これらの結果をもとに、環境ボランティアによる取り組みがその地域の住民の環境意識や保全活動への参加に及ぼす影響を検討した。