水資源・環境研究
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論説
古典等にみる琵琶湖国定公園地域の景観評価
小沢 晴司
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2011 年 24 巻 p. 1-12

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抄録

琵琶湖は1950年、我が国初の国定公園に指定された。2006 年、近江八幡の水郷が我が国初の重要文化的景観に指定され、続けて高島地区内の水辺景観が指定された。これらは生業の場としての琵琶湖の景観の今日的再評価に他ならない。一方1993 年、琵琶湖はラムサール条約湿地に登録されている。我が国最大の65,984haが登録対象となり、琵琶湖が優れた人文景観の場であると同時に、生物多様性において国際的に重要な地域であることを示す。本稿ではこれらに注目しつつ、万葉集等の古典に関する先人の研究等を通じ、琵琶湖の景観評価の系譜を概観し、日本人が親しんだ琵琶湖の景観の特徴について解析を試みた。その結果古くから水辺の景や生物、気象、水陸運や漁業、地域における信仰等の景が注目されてきたことが確認された。これらの景観の主要部に設定された琵琶湖国定公園という景観デザインは、古人が注目した滋賀の生物多様性と、生業の景観を捉えたものだった。

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© 2011 水資源・環境学会
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