水資源・環境研究
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24 巻
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論説
  • 小沢 晴司
    2011 年 24 巻 p. 1-12
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    琵琶湖は1950年、我が国初の国定公園に指定された。2006 年、近江八幡の水郷が我が国初の重要文化的景観に指定され、続けて高島地区内の水辺景観が指定された。これらは生業の場としての琵琶湖の景観の今日的再評価に他ならない。一方1993 年、琵琶湖はラムサール条約湿地に登録されている。我が国最大の65,984haが登録対象となり、琵琶湖が優れた人文景観の場であると同時に、生物多様性において国際的に重要な地域であることを示す。本稿ではこれらに注目しつつ、万葉集等の古典に関する先人の研究等を通じ、琵琶湖の景観評価の系譜を概観し、日本人が親しんだ琵琶湖の景観の特徴について解析を試みた。その結果古くから水辺の景や生物、気象、水陸運や漁業、地域における信仰等の景が注目されてきたことが確認された。これらの景観の主要部に設定された琵琶湖国定公園という景観デザインは、古人が注目した滋賀の生物多様性と、生業の景観を捉えたものだった。
  • 平山 奈央子, 川津 優貴, 井手 慎司
    2011 年 24 巻 p. 13-21
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、滋賀県政世論調査を分析対象として、先ず、回答者の属性割合の経年変化と属性間の関係性を把握した。次に、琵琶湖を含む県の水環境に対する意識を尋ねた質問の回答に関するクロス集計の結果から、回答者の属性による回答傾向の違いを把握した。これらに加えて、同回答傾向を全国的な世論調査の結果から把握した回答傾向と比較することで、滋賀県の水環境に対する県民世論の長期的な変遷を把握することを試みた。その結果、1982年から2009年にかけて「水環境を守る施策に対する満足度が高い」、「今後、琵琶湖の保全施策に取り組むべき」、「水を汚さないための行動をとる」などの回答傾向をもつ滋賀県民の割合が増加してきたことが推察された。また、長期的な世論の変遷を把握する分析手法の開発につながる示唆を得られたと考えられる。
研究ノート
  • 池田 敏
    2011 年 24 巻 p. 22-28
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    途上国で進む都市化の中でスラムの拡大が進んでいる。このような都市貧困層に対しての水供給の実態をケニアの首都ナイロビ近郊にあるキバガレ・スラムにおいて調査を行った。住民への水供給の窓口となっているのが、「水ベンダー」と呼ばれるSemi-legal な水販売業者である。民営化後、この水ベンダーがスラム住人の命の水を握っていると言える。ところが、この水ベンダーの経営は極めて不安定であり、社会情勢によっては供給が断たれるということも十分にあり得る。水ベンダーおよびスラム住民への聞き取り調査を基に都市貧困層への水供給の実態を明らかにし、改善への道筋を考察した。
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