水資源・環境研究
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特集論説
九州西部沿岸における地域特性に応じた海岸漂着ごみへの対応と多様な主体の参加
清野 聡子
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キーワード: 海ごみ, 市民科学, 海岸, 漂着, 九州
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2018 年 31 巻 1 号 p. 34-41

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抄録
九州西部沿岸域は、海ごみ被害が深刻な地域である。対馬暖流は対馬海峡を経て東シナ海から日本海へ流入する過程でごみを輸送している。冬季の季節風は、ごみの輸送、漂着、堆積、分解に強く作用している。越境環境問題に直面している当地では、多様な地方自治体の環境政策や市民活動が、当地の自然社会条件に合わせて工夫されている。福岡県の玄界灘沿岸では、万人単位での清掃活動が毎年各地で開催され、地域の清掃活動と研究、技術開発とのつながりが深くなっている。国境離島の対馬、壱岐、五島では韓国、中国との交流も進んでおり、海ごみを通じて蓄積された人的ネットワークが地域振興にも発展するなど、原点である海ごみを生物多様性、教育、歴史・文化、観光などの取り組みに内包している。また、海洋保護区ネットワークの考え方は、多様な主体の参加を前提とした総合的な沿岸、海洋環境管理につながる可能性を秘めている。
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