抄録
2022年8月以降、高時川で長期濁水問題が発生している。濁水は降雨の減少により一旦収まったが、翌春の雪解けの出水の頃から再び高濃度の濁水が長期にわたって継続した。年々、徐々に状況は改善しつつあるが、一定以上の流量が発生すると濁水が継続する傾向は、2026年現在も続いている。
濁水の主要な発生源と見られるスキー場跡地の開発は、1997年に事業者が無許可で行ったものである。滋賀県は開発許可を出したうえで、継続的に指導等を行うことで開発の適正化を図ってきたが、その対応が適正だったかについての評価は難しい。
長期にわたり根本解決が図られなかった背景として、本件が2つの点で「既存の法令」の枠外で生じた問題であることに着目した。第一に、「濁水」が汚染の一態様として法的に位置づけられていないこと、第二に、土地改変の規模が大きく民間事業者による原状回復が極めて困難なことである。
より実効性の高い態様で公的権限が行使されるためには、関連法令上、「濁水」を汚染の一態様に加えることが有効である。また、土砂の除去等の根本解決に向けた地域住民の機運と理解を高めるためには、「アユの生息環境保全」のために、濁水の原因となる土砂を除去する必要性を発信していくことが効果的であると考える。アユは琵琶湖流域住民のアイデンティティに深く関わる魚種であり、アユの生息環境の改善は、地域住民の公共的な関心となりうるからである。