抄録
琵琶湖に注ぐ姉川の一大支流である高時川では、2022年8月の大雨を契機に濁水が長期に継続・再発して社会問題化した。高時川最上流部の支流大音波谷川の流域にはスキー場跡地が存在し、その開発当初より不適切な造成に起因する流土が生じ問題視されていた。その対処にスキー場流域末の河道に土堰堤が設けられたが、2017年8月の大雨で流亡し、すでにこのときにも濁水長期化は生じていた。2022年の是正工事で仮堰堤が設けられ、これが同年8月の出水時に流亡した。その際、河道に滞留していた風化泥土もろとも河水に多量に混濁した状態で土石流のごとく流下し、氾濫に伴い広く撒き散らされたことが長期化する濁水をもたらす直接の要因として疑われる。応急対処として設けられた仮堰堤が結果的に風化土の滞留・放出システムとして機能したことになる。むしろ、スキー場開発により発生しそのまま放置状態にある残土の根本処理こそ対策されるべきである。