抄録
長良川は木曽川水系に属し、本流にダムのない河川である。木曽川水系水資源開発基本計画の一つとして、長良川河口堰が計画されて20年が経過した。
しかし、その間に、水供給地域の愛知県、名古屋凧三重県では、工業用水は需要が低下し、水道用水も需要が横ばい又はその伸びが鈍化しており、2000年になっても長良川河口堰の用途は見込まれない。地盤沈下代替用水としても長良川河口堰は不要である。1986年木曽川渇水は、河川維持用水量の削減等により、これを乗り切ることができ、災害的渇水時の対応のあり方と河川維持用水量の再検討の必要性を示した。
長良川河口堰は計画の見直し=中止の検討がなされるべきである。それがなされていないのは、水資源開発計画が計画行政でありながら、定期に計画の見直しを行う制度と手続がないためである。