水資源・環境研究
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ウォーターフロントとしての淀川のイメージ
雄倉 幸昭
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1990 年 1990 巻 4 号 p. 28-35

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抄録

最近、河川や港湾など水系の開発については、治水・利水のほかに親水を加えることが常となった。しかしこの親水は、治水や利水のように計算された構造物として解答が出るわけではなく、こうありたいと言う個々人の願望の集積が答である。従ってそれは測り難く、また立場、地域あるいは時代によって大きな幅がある。
この調査はSD法を用いて、今の淀川に関する沿川住民のまだ集約―いわゆる住民運動のような形で―されていない第一の声を聞く目的で行った。
その結果は、意外とも言えるものであった。「自然」願望といえども、人々は決して「危険も伴うあるがままの自然」ではなく、整備され、利用しやすいように設備された、安全で人工的な「自然」、すなわちオープンスペースとしての機能のみを求めていた。もちろん都市河川淀川についての調査であるから、四万十川や尾瀬と同一とは言えないまでも、一つの言葉に集約されて、「自然を残せ」と言ううねりになったとき、その意味を読み誤るかも知れないことを気づかせる結果であった。

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