抄録
堀川は名古屋城築造にあたって開削された人工河川である。急速な産業と人口の集中により汚染が進んだ。近年、市民の堀川浄化への気運が高まり、行政も様々な施策に取り組んでいる。私たち「収水研」は現地調査等により、堀川の水環境悪化の実態と原因を次の3点に整理した。つまり、(1)伊勢湾の潮流影響を受ける感潮河川のため、水が滞留する状態となっていること、(2)主要水源である都市下水による影響が、下水道が整備された今日においても大きいこと、(3)補給水源であった木曽川・庄内川からの取水が困難になり、順流区間が「水無し川」となって汚染が深刻になったこと。
堀川の水環境改善のためには、補給水源の手当と下水道(合流式、水処理)の改善が必要である。都市内の既存の水資源を活用して、河川水流を復活させ水環境を再生することを提案したい。