抄録
近年、速やかな排除に重点を置いた従来の雨水対策に加え、敷地内に降った雨水を積極的に貯留し、雑用水として活用したり、災害時の緊急用水として蓄えておく雨水利用の取り組みが増えている。
この10年間、列島渇水、阪神・淡路大震災、東海豪雨など雨水利用の必要性を痛感させる現象が起こり、自治体も本格的な下水道事業の一つとして位置づけている。具体的には、個人宅や事務所などの各戸単位を対象とした雨水利用施設設置に関する助成制度の適用が主なものであるが、住民の賛同を得るにはいくつかの越えなければならないハードルが存在している。
そんな中、京都府K町において、2002(平成14)年9月から「雨水利用検討調査」が行われ、雨水利用施設の普及促進の基本的な考え方、具体的な取り組みについて検討を行った。本稿ではその結果を踏まえ、大規模施設への雨水利用施設の設置も念頭に入れ、今後の普及促進についての考察を行った。