抄録
屋外に設置されていた遊具の木製支柱が折損し,そこで遊んでいた子供達が落下してけがをするという事故が発生した。この支柱は電柱の再利用材で,遊具として約18年間使用されていた。支柱の根元には古タイヤが12個連続して被されており,事故はタイヤ被覆部における曲げ破壊が原因であった。タイヤ被覆部とその上部では腐朽が進行しており,折損部の外周部分では,腐朽による質量減少率が40%以上と推定された。支柱の直径は元来約30cm であったが,折損部においてほぼ健全と思われる領域は中心部分の直径13cm 程度しかなく,この部分の曲げ強さは健全時の8%程度と見積もられた。また,支柱表面の6カ所からワタグサレタケが,折損部の断面の1カ所からオオウズラタケが分離された。これらの菌が支柱の腐朽に関与したと考えられた。