木材保存
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研究論文
被覆型CLT2時間耐火構造開発に向けた小型炉実験と実大耐火試験
上川 大輔原田 寿郎稲田 達夫倉富 洋塩崎 征男村田 忠矢垰 和彦
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2016 年 42 巻 6 号 p. 294-302

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抄録

クロスラミネイテッドティンバー(以下CLT と記載)を床や壁構造体として5階建て以上の中高層建築物に用いる場合,2時間の耐火性能が必要となる。この2時間耐火性能を無機材料での被覆によりCLT 構造材料に付与することを目的とし,小型炉での被覆材の検討および実大炉での耐火試験を実施した。無機材料としてケイ酸カルシウム板と石こうボードを対象とし,小型炉ではこれらの材質,厚さ,組み合せと断熱性の関係を検討した。実大炉ではケイ酸カルシウム板と石こうボードを組み合わせた仕様について2時間の耐火性能の有無を検証するとともに,耐火被覆を施した鉄骨梁とCLT との接合部の安全性についても検証した。これらの結果,加熱側にケイ酸カルシウム板,内側に強化石こうボードという被覆材の組み合せでおよそ60mm 厚の被覆をすることで2時間の耐火性能が得られること,鋼製の柱や梁と組み合わせる場合は接合部の断熱もしくは鋼材の被覆割増等の処置が必要なことなどを明らかにした。

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© 2016 公益社団法人 日本木材保存協会
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