木材保存
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保存処理木材中に含まれるDDACの定量分析方法の効率化
宮内 輝久伊佐治 信一赤堀 裕一池田 学大澤 朋子中井 大二郎桃原 郁夫
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2016 年 42 巻 6 号 p. 303-308

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抄録

第四級アンモニウム化合物であるジデシルジメチルアンモニウムクロライド(DDAC)は加圧注入処理用の木材保存剤の有効成分として広く用いられている。加圧注入処理された木材中におけるDDAC の吸収量の基準やその分析方法は製材の日本農林規格(製材のJAS)等で規定されている。製材のJAS に規定されている吸収量の測定方法では,機器分析による定量に先立ち,処理材中のDDAC は塩酸-エタノールを抽出溶媒として煮沸により抽出される。また,抽出後に木粉をろ別するため吸引ろ過を行い,残渣木粉の洗浄を経た後,ろ液と洗液を合わせたものを定容することとなっており,効率的な方法とは言い難い。そこで,DDAC の抽出方法を効率化する方法として,超音波抽出とシリンジフィルターを用いた簡易ろ過について検討した。その結果,抽出溶媒にギ酸-メタノールを用いることで,超音波抽出と簡易ろ過により効率的に抽出できることが確認された。同一試料を用い複数の機関で実施した結果を比較したところ,概ね同レベルの結果が得られることが確認された。

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© 2016 公益社団法人 日本木材保存協会
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