近年,深刻化する環境問題解決に向けて,土木分野においても環境負荷の少ない持続可能な社会づくりが求められている。そのような中で,木材を多く使用する軟弱地盤対策としての活用が,防災と地球温暖化緩和策の両面から期待されている。更なる利用拡大には地中に設置された木材の長期耐久性検証が必要であるが,木材の長期耐久性に関する研究例は多くない。本研究では,約20年前に地中に設置された杭出し水制工の腐朽に対する健全性を,設置環境の違いに着目して目視判定やピロディン試験結果から調べた。その結果,潮位変動域で透水性の高い地盤の,地中に設置された木材は腐朽や虫害の影響を受けることが明らかとなった。一方,同条件下であっても土質の毛管現象によって地盤が常時飽和する区間では,腐朽や虫害の影響を受けず,長期間健全性を維持できることが確認された。