抄録
老人の死生観やターミナル期の介護等についての研究論文を概観し、介護教育への課題を述べた。老人の死生観に関しては、視力や聴力、生活満足度、社会的役割、信仰心や宗教への関心度等が影響を与えていた。老人の死生観が周囲からいかに理解され尊重されるかで、老人の生活や人生の質が左右されるかということも明らかにしていた。ターミナル期の老人介護では、在宅で看取る場合、家族の介護負担の分散、医療従事者からのサポートだけでなく、介護者への肯定的な評価の大切さが挙げられていた。以上のような研究における調査結果から、介護教育では、まず、老人の死に対する考えに、より関心を持つことや宗教的な行為への理解を深める必要性が挙げられる。次に、ターミナル期の老人の介護についても、社会的状況や家族へのサポートを含めて学ぶ機会をつくるべきであるといえる。老人を介護する上で、死にまつわる援助は欠かせないものである。