木材保存
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研究論文
タンパク質の変性を利用した木材防腐処理
山崎 実紅金野 尚武石栗 太東 徳洋羽生 直人
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2018 年 44 巻 5 号 p. 301-307

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抄録
牛乳の乳清由来の水溶性タンパク質であるWPI(whey protein isolate:ホエータンパク質分離物)を環境調和的な防腐処理に適用することを試みた。スギ辺材にWPI を含浸させた後,加熱してタンパク質を変性させ,不溶化することによって調製したWPI 処理木材の耐腐朽性を評価した。褐色腐朽菌オオウズラタケ(Fomitopsis palustris )および白色腐朽菌カワラタケ(Trametes versicolor )を用いた腐朽試験の結果,WPI で処理することによって無処理材と比較して耐腐朽性が明らかに向上することが示された。また,WPI にホウ酸やシプロコナゾールなどの抗菌成分を添加することによって耐腐朽性はさらに向上し,JIS 規格で「腐朽していない」とされる基準である質量減少率3%以下を達成することができた。
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© 2018 公益社団法人 日本木材保存協会
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