日本周産期・新生児医学会雑誌
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Print ISSN : 1348-964X
症例報告
経母乳感染により,遅発型B群溶血性連鎖球菌敗血症を同時期に発症した品胎例
出羽 航大松下 悠紀神野 俊介藤吉 順子高野 由紀子曳野 俊治佐藤 和夫
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2024 年 60 巻 1 号 p. 132-136

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抄録

 症例は在胎32週3日に出生した品胎である.母の腟培養および発症前の3児らの鼻腔監視培養では,B群溶血性連鎖球菌(Group B streptococcus:GBS)は陰性であった.日齢41に,第1子と第2子がGBSによる敗血症を発症し,母乳からGBSが検出された.母は乳腺炎に罹患しており,抗菌薬による治療で軽快し,日齢49より母乳投与を再開したところ,日齢50に第3子が敗血症を発症し,母乳から再びGBSが検出された.3児らの血液と母乳から検出されたGBS株は,すべて血清型と遺伝子型が同一であり,経母乳感染による遅発型GBS敗血症と判断した.3児ともに抗菌薬治療を行い合併症なく軽快した.母乳の継続中止について母と話し合い,直接授乳のみ継続の方針とした.経母乳感染を発症した後の母乳栄養の継続中止に関しては,児の再発リスク,母乳のメリットや母への心理的配慮も含めて判断する必要がある.

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